守破離 -歴史と現代の接点に建つ家-

 300年土地に根差し、歴史と風景をつくってきた住まい。この地域一帯で広く見られる、シンプルな大屋根が印象的な"本棟造"の建築は長きに渡り人々を風雨から守り、先人の知恵と工夫の継承により磨かれたその佇まい、構造の美しさは一長一短に創り出せない魅力となって今に残っています。
 しかしその一方で歴史を刻んできた建築が現代の生活や機能に合わず姿を消してしまうことがしばしばあります。今回はそのような時風の中で"修景"という手法で住まいの再生の道を模索しました。

 

修景前の本棟造の住まいと庭の風景

敷地正面道路より建築を眺める
 写真左手の本棟造の主屋とその右手に新たに築かれたRC打ち放し壁のモダンな建築。新たに増築したRC打ち放し壁の建築にはコンクリートにメジを切ったり、屋根を低く納めて新旧の建築が自然と溶け込むように工夫をしています。

新玄関とガレージ
 コンクリート打ち放しの建築部分に新たに設けられた玄関とガレージ。道路に面するコンクリートの外壁は既存の百日紅を避けるようにリズミカルに弧を描いています。

本棟造の旧家の玄関
 300年の歴史の重みを色濃く伝える趣のある空間となりました。

中庭より建築を見通す。
 写真右手の本棟造の旧家から連なるRC打ち放し壁の建築。

屋根勾配をそのままにしたリビングルーム
 中央の暖炉は空間のイメージに合わせオリジナルで作成しました。暖炉の向こう側にはパティオのもみじが見えます。

パティオ
 玄関と家族室はパティオ(中庭)を取り囲むように配されます。パティオのあるこの空間は以前に井戸があり、敷地の歴史を大切にした結果、パティオとして生まれ変わりました。中央のシンボルツリーは施主と探した、山もみじです。
 建築面積がある規模を超えると、このようなパティオ、中庭、光庭などが採光通風などの点において有効である。敷地条件の厳しい、都市型住宅だけでなく、ゆとりのある敷地においても、安定した自然環境との調和を図ることができます。

玄関から家族室へと続く廊下
 右手にパティオを眺めながら奥の家族室へと続く廊下。単に動線としてだけでなく、ピアノやバイオリンの演奏室を兼ねています。

キッチン

木製の大テーブルが据えられたダイニングルーム
 庭に三角形に突き出たダイニングルームには手入れの庭の景色が吹き込みます。天井の三角面はトップライトで陽光を味わいながら食事を楽しむことが出来ます。

離れの茶室
 本棟造の主屋から庭を挟んで敷地の反対の位置に配した茶室。既存の茶室を曳家により移築再生を行いました。庭の景色が茶室内に取り込まれるように角度をつけて配置されています。

バスルーム
 ガラスブロックの光の広がるバスルーム。

トイレ

2階への階段
 丸パイプが構造的・意匠的に支持しています。またテスリはフラットバーで製作しています。

2階の個室
 天井は屋根勾配をそのままにして、室内高を確保しつつ、梁や柱をあらわしにして歴史の趣を伝える空間としました。
また、本棟造の主屋の改修にあたり、通風・最光に適切な箇所に窓や天窓、通気窓を設けて明るさと通風を確保して、現代生活の暮らし向きに適合できるように配慮しています。

2階の主寝室
 本棟造の母屋の新旧の材が豊かな時の流れを導く空間となっています。

本棟造の主屋の2階から中央の庭を眺める
 中庭を取り囲むように新旧の建築が連なります。母屋の反対に位置するのは離れの茶室です。

建築夕景
 歴史を刻んできた本棟造の主屋、離れ、庭に対し、新たにRC造や鉄骨造の建築を加えて敷地全体での修景となりました。

写真撮影・写真著作:福田進一

片倉隆幸建築研究室
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